スペインと日本のサッカーの違いは何なのか!? その3

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文化の違いは大きい

スペインと日本のサッカーの違いを語る上で「文化」は切り離せません。
文化って言われたらどうしようもないと思うかもしれませんがスペインのサッカーと文化は大いに関係していると感じます。
それはどういう所か。
言わずもがなスペインにとってサッカーは人気No.1スポーツです。それは老若男女問わず全ての世代がサッカーをよく知っています。
私は、週末になればよくアマチュアリーグの3部や4部の試合を観戦しますが、観客席には毎週のよう同じおじいちゃん軍団がいて、中にはおばあちゃんの姿もあります。いわゆる地元の人達なわけだけれど彼らは練習の時もクラブに顔を出して、クラブが一種の憩いの場になっているとも言えます。そして試合になれば観客席で談笑して、試合展開の話をして、試合が終わればその試合の総括を近くのバルで行なっている。これが当たり前の光景として根付いているのだからスペインサッカーの土台は深く広い。
また育成年代の試合では両親が観戦していることは当たり前です。小学生の年代だけではなく中学生、高校生になっても観戦しています。家族との絆が強く日本のように「観に来んな!」と思春期特有の感じにもなりません。
なぜ日本みたいな思春期特有のことにならないのか。それはわかりません。ただ1つ言えることはそういったことは今までなかったからスペインからすれば日本の方が不思議に見えると思います。ゴールを決めた後のゴールパフォーマンスで両親やおじいちゃんおばあちゃんの所に駆け寄ってハグをする。こういった行動は日本ではない文化だと言えます。

とにかく褒める

指導者として感じることにスペインは褒め上手だということ。
「褒めて伸ばす」と言えば一言ですがそれが本当のに強い!
褒められて嫌な人はいないし、褒められる方も嬉しくてプレーにもやる気が生まれる。
単純なプレーでも失敗した後ならより褒めて、いいプレーの後は当たり前に褒める。スペインの指導の現場は「Muy Bien(ムイビエン 最高だ)」であふれています。
逆に日本の現場は叱責が多いと思います。よく指導者が「何で?何してんの?そうじゃないだろ!」と言っていますがそれでは選手が萎縮するし小中学生のような年齢であればなおさらです。
私は選手に「何で」と言うことは自分の指導力不足だと思っています。そこは「何で」ではなくこちらが選手に解決策を練習から提供するようにしなければならないと思います。時々体罰であったり罰走なども耳にしますがそれも同じで、そうなった原因は練習からその解決策を提供できていなかったということに尽きると思います。それを選手に暴力でしか解決できないことは指導者ではありません。
もちろんスペインでも叱責はします。「あの場面はこういうプレーをするべきだ」というように訂正する話し方が多いです。選手も自分たちの考えがあるので言い返してくる選手もいます。だからこそ選手の意見に耳を傾ける必要もあるし、選手を納得させる説明力、指導力が要求されます。

小学生でもマリーシア

スペインで指導を始めた頃衝撃的だったのは小学校4年生でもマリーシアをするということ。
ここまでサッカーの文化が違うんだ!!と思ったのを今でも覚えています。
マリーシアをすることが良い悪いと言う議論もありますがそれはこの場では置いといてください。
スペインはリーグ戦が中心です。小学生の頃からプロと同じようなリーグ戦をこなして勝ち点3を積み上げていきます。試合終盤に勝っていれば選手達は自主的にスローインなどのプレーをゆっくりします。ファールを受けた選手が痛いフリをすることもあります。勝ち点を積み上げるためにすることを自分たちで考えながらプロでもやっていることをマネしているのです。
これがただの練習試合であればその必要は全くありません。リーグ戦という公式戦だからこそ見れる光景であって選手が考えてするプレーの1つとして捉えています。

文化の違いで感じることはあるけれど日本でも少し変わればできることだと思います。
まずはプレーを褒めることから始めませんか?