日本人がスペインでサッカーの監督になるプロセスを紹介

スペインで指導者への道のり

スペインの首都マドリードでサッカー指導者になって8年。

8年間で現場で出会った日本人指導者は1人だけ。

指導者を目指したい人はいるだろうがどうすればなれるのかという情報はあまりにも少ない印象です。

いかにして日本人でスペインのクラブで指導者になれたのか。

そのプロセスの話をしたいと思います。

はじめに指導者といっても様々な立場がある。私が考える指導者は大きく分けると3つ。

<監督>言うまでもなくそのチームの責任者。チームのオーガナイズから練習メニューの組み立て、試合プラン etc…全てを任せられる存在。

<第2監督>監督の右腕。監督のサポート役として同様の仕事をこなす存在。試合では監督にアドバイスを行い交代の進言などもする。

<コーチ>監督、第2監督のサポート役、または専門的なトレーニングを行う存在。フィジカルコーチ、アナリストなど。

実際スペインでは三人一組で1チームの指揮に当たることが多い。

日本人が<監督>になるにはサポートしてくれる存在は必要不可欠です。

 

指導の経験がある人にはわかると思うが、言葉で伝えるということは日本語でも難しい。

それをスペイン語でこなさなければならないのだから必死にスペイン語を勉強する必要がある。

そして指導者ライセンスの取得も必要。

これを持っていなければ外国人である以上見向きもされないでしょう。

指導者ライセンスの話はまた後日したいと思います。

 

スペイン語とライセンスを取得できたらチームを探します。

そこで大切なのがコネクション。

例えば講習会で知り合ったスペイン人やプライベートでクラブに訪れて指導者の知り合いを作っておくと後に紹介してもらったり、指導者が不足していた場合に声をかけてもらたりします。

実際に自分が初めてコーチをしたところは元々プレーヤーとして所属していたところだったり、2013年の2クラブ目のカラバンチェルは当時のGMを紹介してもらったことで不足していたカテゴリーに入れてもらいました。2016年にカラバンチェルに戻った際は2013年の時に組んだ監督から誘われたことが要因です。


人事権を持っているのはGMです。その信頼を得れれば日本人でも十分監督を任せてもらえます。

例えば2016年に戻ったカラバンチェルではまずユースBの第2監督を務め、そのシーズンに昇格を果たしたことで翌年はユースAに内部昇格が内定しました。ここで自分でも1チーム別で指導したかったのでGMにその旨を伝えておきました。1年間のユースBでの取り組みと組んでいた監督の推薦もあって練習時間がかぶないアレビンBを指導することになりました。

例え日本人でもコミュニケーションに問題なければその分評価してくれます。あとは自分の意思をしっかり伝えておくことで監督を任せてくれることに繋がります。

 

自分は外国人だという認識をもつ

私が指導者として常に心がけていることです。

単純に自分と同じ人間でスペイン人と日本人という違いだけあればスペイン人指導者が採用されるでしょう。

また自分が仮に親の立場なら「なんでアジア人がスペインでうちの子の監督なんだ?」と思っても不思議じゃないと思います。

現場に立てば指導以外のことも監督はこなします。クラブの連絡事項や選手との会話、時には選手の親から話し合いを求められたりも。(練習終わりに突然来たりするけどクラブによっては親と話すなとクラブから言われています)

それでも一度指導者という現場に立てばスペイン人も日本人も関係ありません。その現場に立つにはGMや周りを納得させる何かが必要だと思っています。

「日本人だから仕方ない」で済まされることは1つもないわけで、「日本だからこそ」と言われるように心がける必要があるのではないかなと。

自分は運よくチームを任される存在になることができて今ではプロクラブの育成年代の指導者になることができました。

今まさにスペインで指導者を目指したいと思っている人たちに役立てる情報になれば嬉しいです。